好きじゃないならキスするな！…好きならもっとキスをして。

「青田は、今はなにやってるんだ？」

話題を変えるかのように、課長がすばやく口を挟む。ていうか課長、青田さんが今なにをやってるかも知らなかったんだ。ほんとに退職ぶりに会うんだなあ。


すると青田さんは、たった今見せてた寂しそうな笑顔から、すぐにやわらかくて優しい笑顔に変わり。

「アルバイトなんですけど、雑貨屋で働いてます」

「そうか」

「本当はあまり人とかかわらない仕事にしようと思ったんですけど、なんか、それを選んだら一生そういう道を選び続けていかなきゃいけなくなりそうで……。まあ、さすがに従業員もお客さんも少ないお店を選んじゃったんですけどね」

「いや、偉いよ充分」

「従業員は、学生のアルバイトの子たちが多くて、みんな明るくていい子たちばかりなんですよ。あ、もちろん店長さんやほかの社員さんたちも優しいですよ」

青田さんのその言葉に、課長がとても安心した表情を見せた。


……青田さんとは出会ったばかりだけど、会話して数分も経ってないけど、でもなんとなく分かる。
この人は、きっといい人だ。優しい感じがするし、話し方もやわらかい。
……きっと職場でのいじめは、青田さんは悪くなくて、いじめていた側の気分的なものか、綺麗で優しい青田さんに対するくだらない妬みが原因だったんだろうな。