好きじゃないならキスするな！…好きならもっとキスをして。

ひとりになった課長の部屋で、ボーッといろんなことを考える。

……私、課長の彼女になったんだよね。多分だけど。


でも、そこに青田さんが来て。

ずっと心配に思っていたはずの青田さんと再会して、課長はどう思っただろう。また、青田さんはなんで突然課長の家に来たんだろう。課長のことは当時どう思ってたんだろう。そして今は、どう思ってるんだろう。


気になるけど、考えるのは苦手だ。とりあえず、忘れようか。携帯でゲームアプリでもするか。あ、いや、このへんのカップとかお菓子とかを片づけよう。

ふと、さっきまで青田さんが使っていたカップの、彼女が口を付けていた部分に目がいく。
薄く付着した、彼女の口紅。課長の家のカップにあの人の口紅が付いてるのがなんか嫌で、私はそのカップをこれから洗うというのに、その前に親指でその口紅を拭った。