好きじゃないならキスするな!…好きならもっとキスをして。
「青田さんて、課長のこと好きだったんですか?」

もう、直球で聞いてやった。
別にどんな答えが返ってきたっていいや。だって、今課長と付き合ってるのは私なんだし。


けど、青田さんからは意外な答えが返ってきた。



「別に…。

寧ろ、恨んでたかな。あれだけ近い距離にいたのに、私がいじめられてることに、気付いてくれなかった」


青田さんの表情は険しくて。
私への強がりとか、虚勢とか、そういうんじゃなくて、

その言葉は多分本音だと感じた。



「…で、でも、いじめって、周りに気付かれないようにするじゃないですか。
いや、もちろん側にいたなら気付いてほしいですよね。私も同じ立場だったらそう感じると思います。
で、でも恨むだなんて……。
課長も後で色々責められて、凄く落ち込んでたらしいって聞きましたし……」


課長のことをフォローしたかったというのもあるけど、
この場に流れている空気が重くて、少しでも話題を変えたかった。
けど。


「それは、あなたがいじめられたことなんかないから思えるだけじゃないの?」

と、返される。


…確かに、私は学生の頃からずっといじめられたことがない。友だちには凄く恵まれてた。

…もし、私が会社でいじめられてたら。
いつも側にいた課長が気付いてくれなかったら。

課長のことを恨むのだろうか。
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