好きじゃないならキスするな!…好きならもっとキスをして。
分かんない。

青田さんの辛かった気持ちは私には分からない。
無理に分かろうとするのも、逆に失礼なのかもしれない。


だけど。



「もし、相談してたら課長は必ず力になってくれたと思いますよ。
それに、課長も、相談してほしかったって言ってました。相談してほしかったってことは、もし相談してもらってたらちゃんと話を聞きたかったってことですよね。

青田さんは、過去も今も、ちゃんと課長に心配してもらってるんですよ。だから、」

「だから何?」

青田さんはガチャンと荒い音を立ててカップをお皿の上に戻した。


その音と、さっきよりも低いその声に、私は思わずドキリとする。


「だから、相談しなかった私が悪いって?」

「い、いえそうじゃなくて…」

「相談すれば良かったのになんて気軽に言える人間は、いじめられる人間の気持ちなんて分かってない最低な人間よ」


ーー最低な人間。
まさかそんな風に言われるとは思わなくて、ズキンと心が痛んだ。


そして。
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