好きじゃないならキスするな!…好きならもっとキスをして。
「…」

青田さんは何も言わずに席を立ち、テーブルに二千円置くと、そのまま出口の方へ向かっていく。


「え、あ、お金! 多い…」

「いい。奢り」

青田さんは足を止め、顔だけちょっとこっちに向けてそう答えた。


そしてまた顔を前に向けたけど、「あ」と、何かを思い出したように再び顔だけ振り向いて私を見た。


「いいこと教えてあげようか」

「?」

「私と高柳さん、付き合ってはなかったけどキスはしたのよ」

「…え?」
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