好きじゃないならキスするな！…好きならもっとキスをして。

「え？」

「あ。いや、お前が嫌ならもちろん会わないけど」


歯切れが悪く、課長はらしくなかった。
でも、そりゃそうだよね。ここしばらく、私に心配を掛けないように、あんなに優しくしてくれてたんだもん。それもそもそも青田さんが原因だ。その青田さんに会うって言うんだから、らしくもなくなるよね。


「えーと…」

「あ、悪ィ。やっぱムカつくよな。何言ってるんだって思うよな、うん、今のナシ」

「いや、そうじゃなくてー…
とりあえず、会う理由を教えてもらおうか」


こんなに分かりやすく私を愛してくれる課長が、大した目的もなく他の女性ーーしかも青田さんに会うとは考えにくい。
きっと、何かちゃんとした理由があるのだ。
私も、すぐにカッとなって怒る癖を治して、しっかりと相手の話が聞ける大人にならなきゃな。
じゃなきゃまた前みたいに誤解したまますれ違っちゃうし。

…ケンカするのも、すれ違うのも、まずは話を聞いてからだ。