好きじゃないならキスするな!…好きならもっとキスをして。
「なんでまた、そんな男と……」
言いながら課長がハァ、とため息を吐いた。
「言ったでしょ。付き合って今、七年目なんです。つまり、高校を卒業した時に付き合い始めたんですよ。その時は彼氏の将来とか普通そんなに考えないじゃないですか。ましてや、大学への進学が決まってたし」
「まあ、それはそうだな」
課長は頭をポリポリと掻きながら、また一口、ビールに口をつけた。
「モモが悩むのも分かるけど、彼氏もまだ二十五歳だろ? なんでフリーターやってるのかっていう理由にもよらないか? ほら、なにか夢があって、そのための修業中とか勉強中とかで仕方なくフリーターとかさ。まあ、モモが自分の気持ちを全部我慢してまでそれを応援する義務があるって言ってるわけじゃないけど」
「夢があってフリーターならいいんですよ。そうじゃなくて、とくに目的も理由もなくフリーターをやってるから不安になるんですよ」
「あー」
課長は困ったように苦笑した。そりゃあ、課長みたいに出世も早くて仕事のできる人にはフリーターなんて無縁の言葉だろう。……呆れてるんだろうな。俊にも、私にも。
……と、そう思ったんだけど。
「まあ、就職も厳しい時代だからな。お前も大変だし、彼氏くんも大変なんだろうな」
もっと厳しいことを言われると思ってたけど、返ってきたのは意外に優しい言葉だった。
「……もしかして、課長も似たような経験があるんですか?」
「似たようなって?」
「いや、だからたとえば、課長もフリーターの女性と付き合ってたことがあるとか」
「いや、ないけど。ていうか、俺がフリーターの女性と付き合うのは、別に問題じゃない気がするんだけど」
「あ、確かに」
男女差別的な思考がよくないのは分かってるけど、それでもやっぱり、男性のフリーターと女性のフリーターは違う気がする。
言いながら課長がハァ、とため息を吐いた。
「言ったでしょ。付き合って今、七年目なんです。つまり、高校を卒業した時に付き合い始めたんですよ。その時は彼氏の将来とか普通そんなに考えないじゃないですか。ましてや、大学への進学が決まってたし」
「まあ、それはそうだな」
課長は頭をポリポリと掻きながら、また一口、ビールに口をつけた。
「モモが悩むのも分かるけど、彼氏もまだ二十五歳だろ? なんでフリーターやってるのかっていう理由にもよらないか? ほら、なにか夢があって、そのための修業中とか勉強中とかで仕方なくフリーターとかさ。まあ、モモが自分の気持ちを全部我慢してまでそれを応援する義務があるって言ってるわけじゃないけど」
「夢があってフリーターならいいんですよ。そうじゃなくて、とくに目的も理由もなくフリーターをやってるから不安になるんですよ」
「あー」
課長は困ったように苦笑した。そりゃあ、課長みたいに出世も早くて仕事のできる人にはフリーターなんて無縁の言葉だろう。……呆れてるんだろうな。俊にも、私にも。
……と、そう思ったんだけど。
「まあ、就職も厳しい時代だからな。お前も大変だし、彼氏くんも大変なんだろうな」
もっと厳しいことを言われると思ってたけど、返ってきたのは意外に優しい言葉だった。
「……もしかして、課長も似たような経験があるんですか?」
「似たようなって?」
「いや、だからたとえば、課長もフリーターの女性と付き合ってたことがあるとか」
「いや、ないけど。ていうか、俺がフリーターの女性と付き合うのは、別に問題じゃない気がするんだけど」
「あ、確かに」
男女差別的な思考がよくないのは分かってるけど、それでもやっぱり、男性のフリーターと女性のフリーターは違う気がする。