好きじゃないならキスするな!…好きならもっとキスをして。
私は隣に課長がいるのも忘れ、俊のもとへ駆け寄った。うしろから俊の空いてる方の手をつかむと、俊は驚いた顔で振り返った。そして、私の顔を見ると、いかにも『ヤベ』と言わんばかりの表情を見せた。

「……俊、誰? この女の子。なんで、手繋いで歩いてるの?」

私が聞くと、俊は少しの間の後、バッと私の手を振り払った。

そして、私ではなく、隣にいた女の子の方に話しかける。

「だからこのへんウロウロするのやめようって言ったじゃん」

するとその女の子も、
「えー、だってこの先においしいお店あるんだもん」
と、とくに動じる様子もなく答える。


……どういうこと? 俊は、なんでこんなにうざったそうにしてるの? この女の子は、私と俊が付き合ってるの知ってて、手つないでるってこと? なんで?

だって昨日、メールで……。


「がんばるって言ってくれたじゃん……?」

あれは、私との結婚を考えてくれてたからじゃなかったの?
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