好きじゃないならキスするな!…好きならもっとキスをして。
二時間後、飲み会はお開きとなった。


「二次会行く人ー」

店を出た先で、待田さんが右手をあげながらみんなに尋ねる。女性の先輩ふたりは、その質問に対してパッと手をあげた。


「高柳さんも、一緒に行きましょうよ。ホラ、明日土曜日だし!」

中谷さんがニコッと微笑みながら、課長をそう誘う。


……相変わらずどうかしているらしい今日の私は、その光景を見ながら「課長のこと誘わないでよ」なんて思ってイライラしてしまった。なんで中谷さんが課長を誘っちゃいけないんだろう。私がそれをどうこう言う理由もないのに。しかも、私だって課長をラブホに誘ったことあるのに。


でも。

「すみません、明日ちょっと朝早いので、今日はこれで」

と、課長はそれを断っていた。


美希ちゃんは、金谷さんも二次会に行くので自分も参加すると言っていた。


一方私は。

「すみません、私も帰りますね」

なんか疲れたし、美希ちゃんも金谷さんとうまくいきそうだからもう大丈夫だろう。


「高柳さん、駅まで百瀬さんのことよろしくお願いしますね」

金谷さんがふんわりとした笑顔で課長にそう言ってくれる。ああ、金谷さんっていい人だなぁ。美希ちゃん、金谷さんとうまくいくといいね……! まぁ、私は課長に送ってもらわなくてもひとりで問題なく帰れますけど。

すると私の隣で、
「えー、こんな時間に百瀬さんと歩いてたら警察に捕まりそー」
と、待田さんがまたケラケラ笑った。
……最後の最後までムカつく人だな! まあ確かにこの前課長と一緒にいてお巡りさんに怪しまれましたけど!


そんなわけで、私と課長以外の人たちは二次会へと向かっていった。

みんなの背中を見送って。

「んじゃ、帰るか」

「はあ」

私と課長も、駅に向かって歩き出した。
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