好きじゃないならキスするな!…好きならもっとキスをして。
「あっ、いや、勘違いすんなよ!? 別に、お前のことが好きとか、そういう告白じゃないからな!?」

課長は慌てた様子で否定してくる。そんなに慌てなくてもそれは分かってるよ。


「だから、その……俺は、気さくに話せる感じの人が好きなんだよ。お前はそういうタイプだし、まあ気もきくし、いつもからかっちまってるけど、身長が低いのもかわいいと思ってるよ」

「……」

な、なに。かわいいって。いつもそんなこと言わないくせに。……でも、もちろん嫌な気はしなくて。


「……お前は?」

「え?」

「お前は、どういう人が好きなんだよ?」

「それは……」


俊のことは、一緒にいて楽しいから好きだった。俊に対してはだんだんと気を遣うようになっていってしまったとはいえ、基本的には、私は多分そういう人が好きなんだろうな。

……一緒にいて楽しい、っていうのは、課長に対しても感じてるかも。上司だけど話してていい意味で気楽で、笑い合えて。

あと、言い方はアレだけど、今日待田さんと話して、課長との距離に改めて気づいた。待田さんにはいろいろ嫌な思いをさせられたけど、課長には身長のこととかでからかわれても嫌じゃないから。

課長に恋をしているとかではないけど、異性の中で一番好きなのは、家族の次だときっと課長だ。
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