好きじゃないならキスするな！…好きならもっとキスをして。

気を取り直すように、私は課長が作ってくれたチャーハンを口に運ぶ。

「……おいしい」

「そうか」

課長も、ベッドの横のテーブルの前にあぐらをかいて、自分用のチャーハンを食べ始める。


「彼女にも料理作ってあげたりするんですか？」

チャーハンに目を向けたまま、なんとなくそんなことを聞いてみる。

「彼女に振る舞うほどの料理じゃないだろ、どう見ても。彼女ができたら彼女に作ってもらいたいし、今までだって作ってもらってたよ」

「ふーん」

「興味ないなら聞くなよ」

別に、興味がなかったわけじゃないんだけどな。

ただ、なんとなく、なぜか。課長にも今まで何人か彼女がいたんだよなあというあたり前の事実を想像したら、なぜかモヤッとして、そんな適当な返事になってしまった。


チャーハンをすべて食べ終えると、課長がお皿を片づけてくれた。男の人に、それ以前に上司にこんなことさせて、改めて心底申しわけないと思う。