好きじゃないならキスするな!…好きならもっとキスをして。
もう一度ベッドに横になってぼんやりしていると、ダイニングの方から「風呂はどうするー?」と課長に聞かれる。私は天井を見つめていた視線をダイニングの方へ向けて、「……お風呂は入らなくていいー」と答えた。

しばらくして、課長がダイニングから寝室へ戻ってきた。

「また気遣ってんのか?」

「いや、ほんとに。少しでも動きたくない状態」

「まあ確かに、その腰じゃなあ。一日風呂入らなかったくらいで死ぬわけでもないし。でも、化粧したまま寝んのか?」

「バッグの中にメイク落としシート入ってる。そこのバッグー。取ってー」

ったく、と言って、課長は床に置いてあった私のバッグを手渡してくれた。

「拭けるか?」

「そこまで重病人じゃないやい」

重病人だったとしても、顔はさすがに拭いてもらわないかな……。そこまでは恥ずかしすぎる。
私はもう一度なんとか起き上がり、シートで顔を拭き始めた。
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