好きじゃないならキスするな!…好きならもっとキスをして。
「ちょっと、なんで布団ないの? お客さん泊まりに来たらどうするの?」

「別に誰もこんな狭い家に泊まりには来ねえから」

「友だちいないの?」

「ちげーよ。まあ確かに、そのうち買おうとは思ってたけど」

「さすがに上司に床に寝かせてひとりだけベッドで寝られないよ。私が床で寝る」

「は? 俺とお前の関係で今さら上司も部下もないだろ」

なに言ってんだお前、と言わんばかりの表情でそう言うと、課長は私がスタンドライトの横に置きっぱなしにしていた小説を手に取り、読み始めた。
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