好きじゃないならキスするな!…好きならもっとキスをして。
とくになにも言わないでいたら、その手はするすると上がってきて、服の上から私の胸に触れた。

「あのー……私、ケガ人なんですけど」

目を開けて、でも壁を見つめたまま、私はポツリと呟くようにそう言った。

「分かってる」

「三十過ぎのクセに盛りだなぁ」

「盛ってない男なんていねえよ」

そう言って、課長は私の胸をなで続ける。

「ん、……っ」

「安心しろ。腰ケガしてる相手にヤろうとはさすがに言わねえから」

「うん……」

「少しだけ。触るだけ」

しばらくすると、その手は胸だけじゃなくてお尻とか太ももとか、いろんなところを触り始めたけど。それ以上の領域には触れることなく。

「お休み」

そう言われるのと同時に、課長の手が体から離れた。
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