好きじゃないならキスするな！…好きならもっとキスをして。

午後になり、家の前までタクシーを呼ぼうとする課長を慌てて止めて、私は電車で帰った。

とりあえず、お風呂を軽く洗って、お湯を溜めて。昨日入らなかった分も、ゆっくりとお湯を感じることにした。それに、熱いお湯が腰に効くような気がした。そう考えたら、温泉にでも行きたくなってきた。

……一緒に温泉、っていうのはさすがにおかしいか。それは無理でも、今度、課長になにかお礼しないとな。


今さら、やっぱり今日も泊めてもらえばよかったかなぁ、なんて思ってしまう。家でひとりで過ごすのが寂しい、というよりは……もう少し、課長と一緒にいたかったような……そんなことを、今になって思ってしまう。

なんで、そんな風に思ってしまうんだろう。課長は私にとって、確かに特別な存在ではあるけれど――でも、そういう「特別」ではないはずなのに。


……ないはずなのに。

そんなことを考えながら、ゆっくりと残りの休日を過ごした。