好きじゃないならキスするな!…好きならもっとキスをして。
「課長、どうかした?」

「別に」

「……?」

別に、と答えているわりには、眉間に皺が寄ってるし、なんか怒ってるみたいな感じだ。


「コーヒーまずかった?」

「え? いや、うまいけど」

「そう。ならよかった」

普通に答えてくれたし、私の考えすぎかな。


「じゃあ、そろそろ行くね」

私はドアノブに手をかけて、課長に頭を下げる。すると。


「……あのさ」

戸を少しだけ開けたところで呼び止められ、私はまた戸を閉めた。首だけ振り返り、「なに?」と聞くと。



「……寝るなよ」
< 96 / 226 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop