【短】年下の彼に壁ドンされました。
「なぁ、“カベドン”って知ってるか?」
同期で同僚の男が、社食で昼食を取る私の横に無遠慮に座る。
それに目の前に座る彼の手が一瞬ピクリと動きを止めたけれど、私は知らないふりをした。
「“カベドン”?」
「そうそう。 壁ドン。 なんか最近流行ってんだろ?」
「さぁ。興味ないから」
「お前、それでも女かよ? そんなだから男の一人もできないんだよ」
残念。
男の一人なら目の前にいますけど。
なんて言ってやりたいけど、面倒臭いから言わない。
「先輩は壁ドン、知ってるんですか?」
ニコニコと笑って、同期に話しかける彼。
私からしたら同期の男は、彼からしたら先輩だ。