【短】年下の彼に壁ドンされました。
「なんでですか?」
「だって、ほら身長もあまり変わらないでしょ?」
166cmと女にしては高めの私と、170cmと華奢な彼。
壁ドンと言ったら少し見下した感じで迫って行くようなイメージがあるし、身長差のあまりない私たちだとなんだかしっくりこない気がする。
「俺が小さいって言いたいんですか」
少し喧嘩腰のような低い声で発された言葉に、慌てて取り繕う。
「そういうわけじゃないよ。 私がでかいっていうのもあるから。 ただ、なんていうか私たちがやったとして、しっくりこないっていうか……」
「つまり、俺らしくないってことですか」
喧嘩腰ではなくなったけど、やっぱり少し低い声はどこか拗ねた声色をしている。
「そうなる……のかなぁ……?」
そう言うと、彼は私の腕を掴んで急に立ち止まる。
「きゃっ」
気づかなかった私は、急に後ろから引っ張られたような感覚になりながらも振り返った。