【短編】ベールを脱ぐ


ネクタイを絞め終えると、久住は鼻で笑いながら、キンクサイズのベッドに来て、座っていた私の前に立った。そして胸に当てていたバスタオルを掴むと、勢いよく、それを剥がした。


「や……」
「恥ずかしがる必要があるわけ? 来週も会える? 会えない? そ。会わないなら清水建築の宇賀神は身体で商談成立させたって噂、流されたい?」


さっきまで優しく抱いてくれた手で、久住は私の顎を掴んだ。中腰で、私を見下ろす。威圧的な瞳。


「会うの、会わないの、どっち?」


ぐい、と上を向かされた。目の前には、久住の不機嫌な顔。


「俺に抱かれたいの、抱かれたくないの、どっち?」


逆らえない雰囲気。


「早くしてくれないか? 返事」
「……はい」


私は否応なく肯定の返事をした。
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