年上のあなた、年下のきみ
あなたへの想い
練習中のぼく
トンっと優しく手をつかれたのは、顔の少し上。
ぼくは、その人と壁の間に挟まれる形になる。
『覚えておいて。あなたの心が例え僕に向いていなくても、あなたの瞳に僕の姿が映ることはなかったとしても、僕はあなたを……想い続けているから』
胸が高鳴り、手の平に薄らと汗が滲む。
真っすぐにぼくを見つめるその瞳を、ぼくも真っすぐに見つめ返す。
愛しい人を想う、情熱的なまでの熱い眼差しに頭がクラクラして、喉がカラカラに乾く。
それでもなんとか言葉を絞り出そうと口を開くと
「はいっ、こんな感じでやってもらえるかな」
突然ガラリと口調が代わり、顔に影がさすほど近かった距離があっという間に離れていった。
「さすが谷中先輩!!もう私、見ているだけでドキドキしちゃいました」
「俺も俺も!!」
「せんぱーい!今度はわたしにやってくださいよー」
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