不器用な愛の示し方。


すると、妃菜ちゃんが俺の方を向いた。


大方、そろそろ迎えに来る時間帯だと悟ったのだろう。


まったく…やけに勘が鋭くなってきたな。


「帰ろう、妃菜ちゃん。」

俺の方を向いた妃菜ちゃんにそう言う。

妃菜ちゃんは笑って頷く。


「ごめんなさい。これから約束があるので、また明日教えますね。」

集まって来た人に丁寧に謝罪を述べてから俺の元へ走ってくる。


…可愛いな。


彼女の行動一つ一つにいつも胸が高鳴る。

これもまた恋だ。


俺は、その日妃菜ちゃんと他愛もない話をして帰路に着いた。


やっぱり妃菜ちゃんは可愛くて。


幸せな時だな、と思った。


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