不器用な愛の示し方。


3年前。

まだ桜が満開の時。

私は、中学生になった。


その中学校は電車で通わないといけなくて、すごく大変だった。


でも、そんな時、電車であの人に会った。


会った、じゃ正しくないな。
見かけた…かな。


私の最寄駅の次から乗ってくる男の子。

乗る度に目が合ったの。


たった数秒、いや、数瞬間。


それでも私はとても嬉しかったの。


憂鬱だった電車の通学時間も楽しみになった。

学校までの時間がとても短く感じた。


あなたを眺めてるだけで。


友達と話して笑っている顔。
たまにする怒った顔。
ふざけている顔。
真剣な顔。

あなたの新しい顔を見つけられたら、どんなことよりも嬉しかったの。

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