不器用な愛の示し方。
scene4
-弘貴side-
暑いぐらいの夏休みが終わり、2学期が始まった。
妃菜ちゃんと会うことはやっぱりなかったが、不思議と会いたいとは思えなかった。
俺は夏休みの間ずっとバイトを入れて何も考えないようにした。
何かしてないと妃菜ちゃんの顔が浮かんでくるから。
つらいんだ。
「原君っ…!!」
俺が妃菜ちゃんの教室の前を通る時、妃菜ちゃんが声をかけてきてくれた。
こんなことは初めてだった。
嬉しくて嬉しくてニヤけそうになった。
それと同時に怖くなった。