不器用な愛の示し方。


やめてくれよ、そんな期待させるようなこと。


妃菜ちゃん。

君にはもう大切な人が居るんだろう。


彼氏がいるんだろう。



俺は妃菜ちゃんのほうを振り返る。

妃菜ちゃんは酷く泣きそうな顔をしていた。


泣きたいのはこっちなのに。

泣かせたのは俺だよな。


「ごめんな、妃菜ちゃん。俺、最低だな。」


そう呟く。

「そんな…っ。」


「大好きだったよ。バイバイ、妃菜ちゃん。」

「…っ!!」


俺は柔らかく妃菜ちゃんの手を掴むと離した。


< 64 / 92 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop