不器用な愛の示し方。

__次の日。

「原君!!原君いる?!」

朝のSHRが終わった頃、千佳ちゃんが俺のクラスに来て、慌てて俺を呼ぶ。

幸じゃなく、俺を____。

何すごく嫌な予感がして、俺も急いで千佳ちゃんのところへ行く。

「どうした?花木さん。幸呼ぶの?」

「ち、違うの!!お…落ち着いて…聞いてね…?!」

そして、この日。

俺の嫌な予感は的中することとなる。

「ひ、妃菜が…妃菜が…!!転校しちゃったの…!!」

は…?

俺は一瞬わけがわからなかった。

転校…?妃菜ちゃん…が…?

「今まで出てこなかったのは引っ越しの準備とか、転入手続きとかの関係なんだって…!!」

千佳ちゃんの話さえ、上手く頭に入ってこない。

「嘘…だろ…?」

やっと口から出た言葉。

「私だって嘘だと思いたい!!」

目の前でそう、涙目で訴えてくる彼女はどう見ても、嘘をついているようには見えなかった。




< 80 / 92 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop