不器用な愛の示し方。


なかなかざわつきの収まらない教室に私は、口を開くタイミングを見失う。

「おい、お前ら!!静かにしろー。日々野が自己紹介できねぇだろーが!!」

拓斗先生の一言でピタッと話し声の止む教室。

私は深呼吸を一つして、自己紹介をする。

「また、ここでお世話になります。日々野 妃菜です。

皆と久々に会えて嬉しいです。

これからもよろしくお願いします。」

そう言って礼をすると、拍手が起こった。

「おかえりー!!」

「またよろしくね!!」

そんな声が飛び交うのに安心する。

…そして、あいつの姿がないのにも。


「じゃー、席は相沢の隣なー。」

「きたーー!!!」

相沢…君?

あ、相沢…俊君!!!

中学校の頃から、明るくて優しいクラスのムードメーカーでかなりモテる人。



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