不器用な愛の示し方。


「妃菜ちゃんこそ、眼鏡外して髪下ろしたら印象が随分違くなったね‼︎」

私は中学生の頃は、とにかく目立ちたくない一心で眼鏡とおさげにしていた。

高校に入る前に、コンタクトに変えたのでそれにおさげはなんとなく合わず、下ろしたらしっくりきたのでこのままにしている。


「ちょ、花菜。お前うるせぇよ。」

「…安眠妨害やなぁ。」

俊君の言葉に、俊君とは違う声がする。

声を出したのは、さっきから机に伏せていた私斜め前…花菜ちゃんの隣の席の男の子。

この男の子どっかで見たことあるんだけどなぁ。

「はぁ⁈相沢も健司もケンカ売ってんの⁈」



あ、思い出した‼︎

堀内 健司…君。花菜の幼馴染みで、花菜の好きな人。

私的にこの2人は絶対両想いだと思うんだけどなぁ〜。

「おーおー、花菜とケンカなんか考えただけで恐ろしいわ〜。」

全くそんな様子のない声でまた花菜を茶化す堀内君。

「なんですって、この…バスケ馬鹿‼︎」

「うるせー‼︎ゴリラ女‼︎」

「だーれがゴリラ女ですってぇ⁈」

「鏡見てこいよ、目の前に見えるぞ〜‼︎」

そういえば、いつもこんな風に言い争ってたなぁ。

懐かしい感覚に思わず笑ってしまう。


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