恋する予感
「そんなに結婚がしたいなら、俺がしてあげますって言ってるんです」
「な、何冗談言っているのよ?!」
「冗談なんかじゃないですよ」
「…からかって…」
「ないです」
「な、何で?」
「人を好きになるのに、理由なんていります?」
「…っ……そんなこと言われたって、信じられない。第一、今までそんな素振り見せたことなかったじゃない」
「だってそんな素振り見せたら、先輩は金曜日飲みに行ってくれなくなるでしょう?」
「そりゃぁ、そうだけど…。てか、いい加減、そこをどいてよ!」
「嫌です。俺がどいたら先輩、逃げるでしょ?」
「っ…」
今まで見せたこともないような、男としての佐伯を目の当たりにして、私はどうしたらいいのかわからなくなっていた。
ただ理解出来ることと言えば、今まで見たこともないような佐伯の表情とこのシチュエーションにドキドキしているということだけだった。