執事が男に変わる時
「唯様。そろそろ起きなくては大学に遅れますよ」

南向きの窓から眩しいほどの朝陽が差し込んでくる。
カーテンを開きながら笑いを噛み殺して海藤が言った。

昨夜は初めてだというのに散々愛されて、今朝は身体がだるくて重い。

「今日は、休みたい……」

ちょっと不貞腐れて枕に顔を埋めると、急に執事の顔になって耳元で囁く。

「それはいけません。 私の恋人には就職活動も頑張っていただかなくては。

まさか、花嫁修業に専念するなどと甘いことは考えておられませんよね?」

『恋人』の響きに頬が熱くなる。

「就職活動!?して……いいの?」

「しないおつもりですか?」

彼には何でもお見通し。
私は彼の首に両腕を回す。

嬉しさと愛しさが止めどなく溢れて、唇を通して彼に伝える。
限りない感謝と、これからもよろしくの気持ちを込めて。
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