~ハル先輩と私~
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帰りの電車。行きと同じ風景の中に夕日が広がる。
乗っている人は少ないけど私とハル先輩は
ドアの近くの棒1本に、2人捕んで立って乗っている。
ハル先輩は黙ったままだ。きっと、さっきの私の行動のせいだろう。頭の中で、悶々と巡らせて…
眉間にシワを寄せ、悩ましげな表情。
でも、どこか切なさも含まれてる。
だから、そんな表情をさせてしまってる自分にムカつく。
いつか、ちゃんと私の“事情”を話すから…それまでの迷惑をごめんなさい。
「美央ちゃん?」
呼ばれた声に下げた頭を上げる。
「ごめん。待つからって言ったのに…考えさせちゃったね。だから、そんな顔しないで?」
そう言って、ハル先輩のあったかい手が私の頬に触れた。
その手があまりにも切なく感じて自分の手をそれに合わせた。