記憶と共に幽霊と。
ケータイを取り出して電話をする。
相手はひかりだ。
「こんにちは。ひかりちゃん、相談があるけどいい?」
ひかりはいつもよりふわふわした甘い声で
『え〜?いいよぉ〜。何かなぁ〜?』
と答えた。よくあることなので、またか。と思いながら
「ひかりちゃん、明くんに代わってくれる?」
提案するとひかりは、はぁ〜いと答え、数秒無言になった。
『明だけど…相談って…霊研関連?』
察しのいい明に代わり、話がすぐに通った。
「そうだよ。幽霊の男の子がお母さんに、伝えてほしいことがあるって言ってるの。こっちにこれないかな?」
私が聞くと明は悩みながら
『……いや、分かった。そっちに行くよ。ひかりは使い物にならないから俺だけで行くな?』
と言って私の答えを待った。
ひかりがふわふわしたときは言葉が通じないのは知っている。
「分かった。場所はあとで地図を送るからそれを見てね」
私はそう言って電話を切った。
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