記憶と共に幽霊と。
二人と別れてから家に帰る。
陽くんはご飯を作りながら待っていた。
「ただいま、陽くん。ご飯、ありがとね」
お皿に盛り付けていた陽くんは私に気づき、顔をあげる。
「おかえり。明日香ちゃん。早く手、洗って着替えておいで」
優しい声とにっこりとした笑顔。陽くんの顔を見るだけで安心することができた。
子供扱いしないでとむくれながら洗面台に向かう。

部屋着に着替えてから、夕食をとった。
いつも通りの美味しいご飯だった。
食後のお茶を飲みながら、陽くんに今日あったことを話す。
「男の子の名前は湊くんだってさ。知ってる?」
大体話したあと、陽くんは知っているのかと思い、質問した。
陽くんは首を捻りながら
「いや、知らない。最近事故死があった記憶はないし、いくつか事件はあったけど…全部は把握できないしなぁ」
と言って首を横に振った。
色々知ってる陽くんならなにか知ってるかもと思ったが、そう簡単にはいかないものだ。
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