記憶と共に幽霊と。
「当時…部屋が荒れていたらしい…だから…空き巣…」
肩で息をしながら話す明。
あまり体力のない明とけろりと笑いながらお菓子を食べているひかり。
「もっと体力つけなよー」
そう言いながらモグモグと可愛らしい袋に入ったクッキーを食べている。
貰い物らしいお菓子をいつも持っているひかりと明。一度二人に頂戴と言ってみたときがあったがやんわりと断られた。
二人には、特別なもののようだ。
「詳しいことは部長に聞いた方がいいけど、とりあえず報告ね」
息が落ち着いてきた明が部長の名を上げる。
部長は何故か探偵をやっていて、この火理町の事件であればほとんど関わりがあるらしい。
以前、部室に隠してあった卒業アルバムを見つけたとき、妙なことが分かった。
卒業生の名前のなかには部長がいない。
でも写真には何度も写っている。
5年前ぐらいまで残っていたが、すべて、部長が写っている。
頭にタオルを巻いているのはここ数年。それより前の2、3冊にはなにも巻いていない。
不思議な部長だ。
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