記憶と共に幽霊と。
授業がすべて終わり、三人で部室に向かう。
いつもの道のりだけど、今日はいつもより早足だ。
「あ…あの!!江口先輩…!」
呼び止める声。可愛らしいふわふわした雰囲気の女の子だ。
「あぁ。佐々木さん。あれ、持ってきてくれたの?」
明は何で呼び止められたのか理解しているようで、女の子が抱えている包みを見る。
女の子もコクンと頷いて
「はい…!うまくできてるか…分かりませんが…」
包みを差し出す。明も笑顔を浮かべながら受けとる。
「ありがと。うまくできてなくていいんだよ。想いさえ、こもっていれば」
そう言って掌をひらひらとさせながら女の子に別れを告げた。

「しつれーしまーす。こんにちはー部長ー」
私がガタガタとドアを開けながら言う。
奥でいつもの席に座る部長。
今日も頭にタオルを巻いている。
「部長、今日は質問があります!」
元気なひかりが部長に聞く。
部長はあまり興味無さそうに
「なあにー?今日は暇だから受け付けちゃうよー?」
そう言いながら本のページをめくる。
昨日とは違う本だ。
「渚くんって名前の男の子が殺された事件って…知ってますか?」
明が質問した。
部長はピクリと眉を動かしただけで、沈黙した。
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