記憶と共に幽霊と。
お母さんがいたのは二階の二つの部屋のうち、奥の方だった。
布団を敷いて、その上で静かに寝息をたてている。
「………いる」
ひかりが短く言う。
お母さんの枕元には、昼間に出会った女の子が座っていた。
「こんばんは、不法侵入者さん」
薄気味悪い、笑顔。
月明かりで青く染まった頬には、赤い紋様が刻まれていた。
細かい紋様の入ったハート。
悪霊の、印。
「こんばんは。…君は、誰?」
ひかりの問いに、女の子は答えない。
「…ねぇ。渚くんは、どうして…死んでしまったのでしょうか…」
伏せ目がちの顔で、問いを重ねる。
「どうして…この人は息子の…渚くんの話を嫌がるのでしょうか…」
見つめる先は、お母さんの顔。
静かに眠る顔を無表情のまま、見つめる。
「ある時、渚くんはお留守番を頼まれました。渚くんにとって、はじめてのお留守番です。張り切って、母が帰るのを待っていました」
女の子の独白。三人は、なにも言わずに聞く。
布団を敷いて、その上で静かに寝息をたてている。
「………いる」
ひかりが短く言う。
お母さんの枕元には、昼間に出会った女の子が座っていた。
「こんばんは、不法侵入者さん」
薄気味悪い、笑顔。
月明かりで青く染まった頬には、赤い紋様が刻まれていた。
細かい紋様の入ったハート。
悪霊の、印。
「こんばんは。…君は、誰?」
ひかりの問いに、女の子は答えない。
「…ねぇ。渚くんは、どうして…死んでしまったのでしょうか…」
伏せ目がちの顔で、問いを重ねる。
「どうして…この人は息子の…渚くんの話を嫌がるのでしょうか…」
見つめる先は、お母さんの顔。
静かに眠る顔を無表情のまま、見つめる。
「ある時、渚くんはお留守番を頼まれました。渚くんにとって、はじめてのお留守番です。張り切って、母が帰るのを待っていました」
女の子の独白。三人は、なにも言わずに聞く。