記憶と共に幽霊と。
「待っていると、荷物が届きました。いつも、自分が受け取っていたし、配達のお兄さんも知り合いだし、何よりも誉めてもらいたかったから、玄関のドアを開けました」
私は、そのお兄さんが空き巣の犯人かと思ったが、違った。
「荷物を受け取ろうとしましたが、はんこがありません。家中を探し、入っていそうな箱をひっくり返していきました。部屋が荒れていたのはそのせいです」
では、空き巣ではないのかな?
「荷物を受け取り、得意気にリビングに戻りました。自分が部屋を、とても汚したことに気がつきました。慌てて掃除をしようとしたら、延長コードに足を引っ掻け、転び、とっさにつかんだテーブルクロス。その上には、重い電話。一発で、気を失い、出血で命を失いました」
男の子に聞いた話だ。
「母が帰ると、家は荒れ、息子はすでに死んでいました。警察を呼び、話をすると、空き巣と断定され、子供を留守番させたことをひどく非難されました」
空き巣だと判断したのは警察だったのか。
「私は、この人の願いを叶えただけです。『もうなにも知りたくない』という願い。私は、何も悪いことなんてやってませんよ?」
女の子はそう言ってにやりと笑った。
お母さんが話を聞いてくれなかったのは、この子が原因のようだ。
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