記憶と共に幽霊と。
とりあえず、男性の名前はわかった。次は…用件かな?
「えっと…どんなご用件ですか?」
敬語ができているか心配だったが、彼はそんなことは気にしていないようで
「あぁ、お葬式の時に、叔母さんから話は聞いたと思うけど、僕が君を引き取るつもりの人なんだ」
と言って微笑んだ。
あまり手入れをされていない髪の間から見える藍色の瞳は、本当に自分の親戚なのかと疑うほどにきれいだ。
「あの方ですか。まぁ、お入りください。玄関でする話でもないでしょう」
私が家の中に入るように促すと彼は小さな笑みを浮かべたまま、お邪魔します。と言って家に入った。
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