悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~
「柳の番号教えようか? 一応本人に許可を得てから……」

「嫌よーひよりから聞くなんて。本人から直接教えてもらいたいし」


あ、そうですか……と苦笑い。

リカって変なとこプライド高いからなぁ。


ひとまず柳とリカを引き合わせるということで話がまとまり、彼女はお嬢様グループの中へと戻っていく。

その背中を見送りながら、あたしは頬杖をついてため息を吐き出した。


「何であたしが柳とリカの仲を取り持たなきゃいけないのよ……」


隣で鉛筆を置いた亜美が、苦笑を漏らしつつ言う。


「気が乗らない?」

「んー、だって浮かれてるリカに付き合うのは疲れるし」

「……本当に理由はそれだけなのかなぁ」


独り言みたいにぽつりとこぼされた一言がうまく聞き取れず、あたしは首をかしげて亜美を見やる。


「うん? 何?」

「あ、ううん、なんでもない!」


笑いながら首を振り、鉛筆を持ってポスターボードに向かう亜美。

気になったものの、特にそれ以上追及もせず、あたしも再び描写を始めるのだった。


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