悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~
たしかあの時、“だいたい金曜の夜20時くらいにやっている”と言っていたはず。
偶然にも今日は金曜日だ。時間もたぶんちょうどいい。
──そう思った途端、あたしは歩く速度を早めて、駅へと向かっていた。
*
夜のスロースは、昼間とはまた違った大人の雰囲気を醸し出している。
20時半過ぎ、あたしはオレンジ色の明かりが灯る店の前に立っていた。
中からは賑やかな人の声と、かすかにギターの音が聞こえる。
格子状の窓からこっそり中を覗くと、店内の隅で足を組んで椅子に座り、ギターを弾いている柳の姿が見えた。
確認も何もせずに勢いで来ちゃったけど、いてよかった……。
一瞬ホッとしたものの、夜はバーになるというこの場所に、あたしみたいな女子高生が入っていいものだろうかと不安になってくる。
でも柳だっているんだし、大丈夫だよね……。
そう言い聞かせ、少し緊張しながらスロースのドアに手を掛けた。
ドアを開くと、人々の声とギターの音色がより一層大きくなって耳に流れ込んでくる。
覗き込むように柳の方を見ると、あたしに気付いた彼は目を見開き、弦を鳴らす手を止めた。
偶然にも今日は金曜日だ。時間もたぶんちょうどいい。
──そう思った途端、あたしは歩く速度を早めて、駅へと向かっていた。
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夜のスロースは、昼間とはまた違った大人の雰囲気を醸し出している。
20時半過ぎ、あたしはオレンジ色の明かりが灯る店の前に立っていた。
中からは賑やかな人の声と、かすかにギターの音が聞こえる。
格子状の窓からこっそり中を覗くと、店内の隅で足を組んで椅子に座り、ギターを弾いている柳の姿が見えた。
確認も何もせずに勢いで来ちゃったけど、いてよかった……。
一瞬ホッとしたものの、夜はバーになるというこの場所に、あたしみたいな女子高生が入っていいものだろうかと不安になってくる。
でも柳だっているんだし、大丈夫だよね……。
そう言い聞かせ、少し緊張しながらスロースのドアに手を掛けた。
ドアを開くと、人々の声とギターの音色がより一層大きくなって耳に流れ込んでくる。
覗き込むように柳の方を見ると、あたしに気付いた彼は目を見開き、弦を鳴らす手を止めた。