悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~
「『英会話習わせてたのに英語は得意じゃないんだな』みたいなこと言われるし……まぁその通りなんだけどさ。
昔ちょっとやってたくらいの好きでもない習い事なんて、何の意味もなかったってことだよね。なんかあの頃の自由な時間を無駄にした気分」


そんな意味のない習い事をやるくらいなら、もっと友達と遊んでいたかった。

亜美や……柳と。

あの頃の時間が本当にもったいないよ。


「……そんなこともないんじゃん?」


意外な言葉に顔を上げると、柳は意味深な笑みを見せて、なぜかカウンターから出てくる。

そして、突然あたしの腕を掴んだ。


「ちょっと付き合えよ」

「え……!?」


あたしを椅子から立たせた彼は、さっきギターを弾いていた所へと向かう。

訳もわからずついていくと、「ここ座って」と言って木製の小さな丸椅子を出された。

柳はその隣の、さっきと同じ椅子に座って足を組み、ギターを抱える。


……もしかして、こんなに間近でギターを聞かせてくれるの?

でも何で突然?

相変わらずあたしの頭にはハテナマークが飛び交うけれど、黙って彼を見つめる。

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