悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~
ちゃっかりまた目を閉じて恩着せがましく言う柳に、若干ムッとするあたし。
「別に、あたしは送ってほしいなんて頼んでない──」
言い終わる前に、横からにょっと伸ばされた手に顎を掴まれ、くいっと柳の方を向かされた。
キス出来そうなくらいの至近距離に、上目遣いで見つめてくる美麗な顔がある。
「……その可愛いげのない口、塞いでやろうか」
彼は、そんな甘い毒のような言葉をつむぎ──。
「んっ!? ぅむむ~~!」
「ははは。ひよこのくちばしみてー」
あたしの唇を両側からむにゅっとつまんで、文字通り口を塞いだ。
コイツーー!!
突然肩に頭乗っけて甘えてきたと思ったら、ふざけたことしやがってー!!
あたしは心の中で暴言を吐きながら、げらげら笑う柳の胸をぽかぽかと叩くのだった。
駅に着くとたわいない話をしながら家まで歩き、「またね」と手を振って別れた。
そーっと慎重に部屋に戻ってようやく一息つく。
お父さんに対してのイライラもすっかりなくなって、むしろ満たされた気分。
今日のことを思い返すと、気持ちと一緒に顔もほころんでいた。
意地悪だけど憎めない幼なじみ。
楽天家のアイツみたいに、あたしも前向きにいかなきゃね。
「別に、あたしは送ってほしいなんて頼んでない──」
言い終わる前に、横からにょっと伸ばされた手に顎を掴まれ、くいっと柳の方を向かされた。
キス出来そうなくらいの至近距離に、上目遣いで見つめてくる美麗な顔がある。
「……その可愛いげのない口、塞いでやろうか」
彼は、そんな甘い毒のような言葉をつむぎ──。
「んっ!? ぅむむ~~!」
「ははは。ひよこのくちばしみてー」
あたしの唇を両側からむにゅっとつまんで、文字通り口を塞いだ。
コイツーー!!
突然肩に頭乗っけて甘えてきたと思ったら、ふざけたことしやがってー!!
あたしは心の中で暴言を吐きながら、げらげら笑う柳の胸をぽかぽかと叩くのだった。
駅に着くとたわいない話をしながら家まで歩き、「またね」と手を振って別れた。
そーっと慎重に部屋に戻ってようやく一息つく。
お父さんに対してのイライラもすっかりなくなって、むしろ満たされた気分。
今日のことを思い返すと、気持ちと一緒に顔もほころんでいた。
意地悪だけど憎めない幼なじみ。
楽天家のアイツみたいに、あたしも前向きにいかなきゃね。