悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~
早いもので、翌日にはリカとやり合ったという噂がクラス中に広まっていた。
リカを取り巻くお嬢様グループは、あたしのことを睨んでくるし、皆の視線がちょっと痛い。
なんだかいたたまれない一日を過ごしていると、バレー部に入っているクラスメイトがあたしの席にやってきた。
「ひよりー、はいコレ」
「げ、あたし当番か。忘れてた」
学級日誌を渡されて顔をしかめるあたしを、ボーイッシュな彼女は軽く笑い飛ばす。
普通に接してくれるだけで、なんだか今はホッとするな……。
そう思いながら話していると、彼女は去り際にあたしの耳元に顔を近付け、こそっと囁く。
「そういえば、あんたリカの好きな人奪ったんだって?」
「……はぁ!?」
微妙に真実と違うことを言われて、あたしは目と口をぱかっと開く。
「ひよりもやるねー。でも、略奪愛は泥沼になるのがオチだから気を付けなよ」
「や、違うから!!」
いらないアドバイスを残して、楽しそうに笑いながら去っていくバレー部員。
噂は尾ヒレが付いて流れているらしい……もしかしたら、これからもっと間違ったことが広まっちゃうかも。