悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~
「な、なんじゃこりゃ……」

「えっ!? ひどい!」


人差し指と親指でつまんで持ち上げると、駅から一緒に来た亜美もそれを見て口元に手をあてた。


「ついにこんなことまでしてくるようになったか……」


ため息とともに呟き、廊下の掲示板を見ているリカの後ろ姿を恨めしく見やる。

その視線に気付いたかのように、彼女がこっちを振り返った。


「おはよう。朝から大変ね」


何食わぬ顔で、他人事のように言うリカを睨みつけるあたし。


「何よ、私を疑ってるの?」

「こんなことするの一人しかいないでしょ」

「私は外の水溜まりの中に浸ってた靴があったから出しておいてあげただけよ。むしろ感謝してほしいくらいなんだけど」


なぁにぃー!?

この性悪お嬢、よくそんな見え透いた嘘をぬけぬけと……!

登校してくる人達の目も気にせず、あたしはリカに詰め寄る。


「そんな嘘が信じられるわけないじゃん!」

「嘘なんかついてないけど? 私の代わりに誰かがやってくれたのよ、きっと。気が利いたことするわよね」

「やってないとしてもその発言は同罪と見なす!!」

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