悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~
それからあたしは、興味津々な小学生達の視線を受けながら、柳に手を引かれて滑り台の裏側に移動した。
死角になるから、きっと誰かに見付かる可能性は低い。
二人で肩を寄せ合ってしゃがむと、柳がふっと笑みをこぼす。
「昔さ、遊んでたら急に雨降ってきて、こうやって雨宿りしたよな」
「そういえば、そんなこともあったねぇ」
あの頃はもっと広く感じた滑り台の下も、今ではさすがに窮屈だ。
懐かしい思い出に浸っていると、肩がくっつきそうなくらい近くに寄り添った彼が、唐突に核心に迫る。
「……何があったのか、俺にも言えないことなの?」
少し心配そうな視線を向けられて、あたしはどうしようか迷う。
言ってもいいかどうかはわからないけど……正直、やっぱり誰かに悩みを打ち明けたい。
その気持ちが勝って、あたしは重い口を開く。
「……こうやって柳と二人でいるのが、ちょっと気に食わない人がいてね」
「あー、もしかしてリカちゃん?」
「あぅ」
あっさりバレてしまった。そりゃわかるか……。
うなだれるあたしの心境を察してか、「大丈夫だよ、誰にも言わないから」と柳が念を押す。