悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~
もうわかってしまったなら仕方ないと、あたしはリカとの間であったことを話し出す。

この上履きはおそらくリカ以外の女子のおかげだろうけど、と全部白状すると、柳は眉根をひそめた。


「大元の原因は俺ってわけか」

「や、それは違うよ」

「……だよな。好きじゃないから断るって普通だし」


しれっとして言い切る柳に、あたしは苦笑するしかない。

汚れた上履きから淡いオレンジ色に染まる空に視線を移した彼は、呆れたようなため息を吐き出した。


「リカお嬢様もくだらねぇことするな。俺達の仲は今に始まったことじゃないっつーのに」


そんなに仲が良いわけでもないよね?と若干思いつつ、あたしも滑り台の向こうの空を見上げて、うーんと唸る。


「あたしはリカの気が済むまで我慢すればいいんだけどさ、亜美にまで迷惑かけちゃって、それがちょっと申し訳ないんだよね」

「藤沢まで?」


首をかしげる柳に、今日の朝のことを話した。

リカにきつい言葉を投げつけられて、落ち込んでしまっていたことを。

それを聞いた柳は少し考えを巡らせて、何かに気付いたように「もしかして……」と漏らした。

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