悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~
──集金があった日。
亜美が男嫌いになる原因を作った男子が、彼女にお金を貸せと言ってきたらしい。
その日の朝、すでに先生に渡してしまっていた亜美に持っているお金があるはずもなく、どうしようかと悩んだ。
断れば、また何か乱暴なことをされるかもしれない。
男子は軽い気持ちだったんだろうけど、亜美にとっては脅迫されているようなもの。きっとかなり怖かっただろう。
そんな時に目に入ったのが、先生の机の上に置かれた集金袋。
先生が一瞬席を外した隙に、亜美はその一番上にあった袋をこっそり取って、誰のものか確認する余裕もなく、すぐ中のお金を男子に渡した。
それが、あたしのものだったというのだ。
「……とっさにそんなことしちまって、すぐ後悔したって。袋に書かれた名前見て、ひよりだって気付いて余計に」
……そんな事情から起こったことだったなんて。
驚きと戸惑いで、何も言葉が出てこない。
「ひよりのお金がなくなったって騒ぎになった後、廊下の隅に隠れてあいつが泣いてるのをたまたま俺が見付けて、その話を聞いたんだ。
ひよりに謝りたいけど、許してくれなかったらと思うと怖くて勇気が出ないって」
「まさか、それで柳が代わりに……?」
信じられない思いで聞くと、彼は小さく笑みを見せた。