悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~
「ごめん、柳……あたしずっと柳のせいだと思ってた。本当はあたし達のために、してくれたことだったのに……」


あの時、亜美に謝られたらきっと許していたと思うけど、それでも多少気まずくなったり、わだかまりが残っていたかもしれない。

柳はあたし達がそうならないように、濡れ衣を被ってくれたんだ。

それなのに、あたしは……


「気にすんなよ、もう4年以上も前のことなんだし。時効だよ時効」


あたしが俯いていると、柳は本当に何も気にしていないように軽く笑い飛ばした。

どうしてアンタは、こんなに人の心をあったかくするの──。


「藤沢はやっぱり正直に言うって言ったけど、そしたら何で俺がかばってんだってことになるだろ? めんどくせぇから黙ってろって俺が言ったんだ。もちろんひよりにもな」


柳がおもむろに小石を拾い上げて、軽く投げた。

ジャングルジムにカツンと当たった音が、ほんの少しセンチメンタルな気分にさせる。


めんどくせぇって……柳らしいけど、本当は辛かっただろうな。

自分がやったことじゃないのに先生に怒られて、あたしからも非難されて。

正義感あるヒーローは、アニメみたいにカッコいいばかりじゃないね。

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