悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~
初めて知った、リカの本心。

柳のことだけだと思っていたら、まさかあたしと亜美の友情に対しても嫉妬していたなんて。


彼女が言うには、あたしがピックを持ってることを知って、柳にもらったのだろうと思うと、沸き上がる真っ黒な感情を抑えられなくなったらしい。

きっとあの瞬間、リカの中で何かが切れちゃったんだろうな。


「私はこれまで、欲しいものは何でも手に入れてきた。でも、今私が望むものは、ひよりが全部持ってるの。
好きな人からの好意とか、上辺だけの付き合いじゃない、心から信頼出来る友達とか……」


いつもの強気なお嬢様は、今は子供みたいな女の子に見える。


「醜い嫉妬で、嫌な気持ちにさせて悪かったわ」


目を合わせずに言うリカだけど、本当に反省していることが伝わってきた。

彼女は静かにフォークを動かし始め、あたしと亜美の表情は自然とほころぶ。


「……リカはリカなりに悩んでたんだね。なんかちょっとホッとした」


お上品にパスタを巻いたリカが、あたしを怪訝そうに見る。


「何でホッとするのよ」

「や、ただ理不尽に嫌がらせしてたわけじゃないんだなって思ってさ」

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