悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~
ケーキで上がった気分が、少しだけ下降してしまった。

そんな私に気付くはずもなく、深山さんは軽い調子でこんなことを言い出す。


「ひよりちゃん、俺と付き合わない?」

「……え?」

「俺さ、葉藍のコと一回付き合ってみたかったんだよね」


バイトらしきお兄さんが、けだるげに差し出したティッシュくらい軽い一言。

今、あたし告白されたの?


でも『葉藍のコと付き合ってみたかった』って……、相手は葉藍の女子なら誰でもいいってこと?

あたしは引きつった笑みを作りながらたどたどしく聞き返す。


「えっと……深山さんはあたしのこと、どう想ってるんでしょう、か……?」

「三人の中で一番とっつきやすいコだなって」


にこりと笑う深山さん。

いやいやいや、それちょっと違うでしょ?

好きって気持ちがないのに付き合うなんておかしいじゃない!

愕然とするあたしは、次の彼の発言にさらに愕然とすることになる。


「お嬢様って、男といるとどんな顔するのかなとか、ベッドではどう乱れるのかなーとか。いろいろ興味あるんだよね」

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