悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~
「秋ちゃん、何でここにいるの!?」


弾んだ声を上げるひよりに、秋史は微笑みかける。


「俺が家庭教師やってる子が、ここの高校に通っててね。用があるっていうから、勉強教えたついでに送ってあげたんだよ」

「そうだったんだ!」


知ってる?と生徒の名前を出されたけど、聞いたことのない名前に俺は首をかしげるだけだった。

そして俺とひよりを交互に見ながら、今度は秋史が質問する。


「ひよりちゃんはどうしてここに?」

「あ……えっと、ちょっと柳に頼まれたことがあって」


ひよりが簡単に説明すると、秋史は「そう……」と言って、俺に視線を移す。


「先生の許可は取ってる?」

「……いや」

「他校生が入ってるってわかった場合、不法侵入になるかもしれないから、ちゃんと先生の了承を得てからじゃなきゃいけないよ」


軽い説教が、正直うっとうしい。

許可を取らなきゃいけないなんてことはわかってるよ。面倒くせぇからしないだけで。


適当にはいはい、と答えると、秋史はどこか冷たさを感じる瞳で俺を見据える。


「頼み事とやらもそうだけど……ひよりちゃんに迷惑になるようなことはしないでもらえるかな?」

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